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ソウルの旅[201704_05] - 女性たちの戦時性暴力被害を記憶し告発する「戦争と女性人権博物館」
http://gashin-shoutan.hatenablog.com/entry/2017/07/13/210000 から 一部引用

ミントハイムを出て、さらに20分ほど歩いた場所にあるのが、飲食店以外でこの日最初の訪問地となるこちらの建物「戦争と女性人権博物館」です。
実はこちらの施設、今年(2017年)1月にも訪問したのですが、その日は残念なことに臨時休館でした。2度目の訪問で念願かなっての入館となります。



こちらの博物館の展示物については、あえて詳しくは紹介しないことにします。
館内のほぼ全域が撮影禁止であることも理由ですが、それ以上に今後この場所を訪れる人、願わくばソウルを訪れるすべての日本人が実際にこの場所を訪れて、直に観覧し、事実と向き合っていただきたいからです。
とはいえ、その中でどうしても2つだけ、紹介しておきたいと思います。


まずひとつは、館内で唯一撮影が認められている、2階の「平和の少女像」。
像と対面するのは、今年(2017年)2月の釜山に次いで2度目。肩に乗った小鳥など像の意匠に込められた意味については、その際の訪問記であるこちらのエントリーにて紹介しておりますので、あわせてご一読いただけますと幸いです。


像と対面する度に、相手の心の奥底を見抜き、射抜くかのような鋭い視線に気圧されてしまいます。正直、直視できないほどです。
あくまで私見ですが、その視線は戦時性暴力被害を否認、あるいは忘却を促し、その被害者たちを踏みにじるすべての人間に対し向けられていると考えています。
私自身は歴史修正や被害者憎悪に強く反対する立場とはいえ、それらを看過してきた結果この国での社会的合意にまで発展することを許してしまった一員である以上、私もまた鋭い視線を向けられるべき存在ですし、そこから逃れることはできません。
しかし、だからこそ、正面から向き合わなければならないと考えています。


もうひとつは、2015年の光復(日本の敗戦による解放)70年を記念した企画展示『解放を待つ女性たち』。韓国軍の将兵による戦時性暴力被害に遭ったベトナムの女性たちをテーマにした展示です。こちらも他の展示物と同様に撮影禁止ですが、日本語版のレジュメ(全4ページ)を入館の際に頂戴したので、ここではそのうち1ページ目の冒頭部を紹介します。

1964年、当時の朴正煕(박정희:パク・チョンヒ、1917-1979)政権は「自由友邦に対する信義」との名分の下、ベトナム戦争への韓国軍派兵を決定。その後、1973年のパリ協定(ベトナム和平協定)締結による停戦まで参戦し、米軍などとともにベトナム民主共和国(現在のベトナム社会主義共和国)と戦っています。
そうした中で、韓国軍将兵によるベトナム市民の虐殺、女性たちへの性暴力も発生しました。

参戦を是とし、当時派兵された軍人の顕彰を優先する社会が長らく続いた中、歴史の闇に埋もれてきたそれら軍人たちによるベトナムでの蛮行、そして犠牲者たち。これを顧みて自国の軍隊が犯した罪と向き合い、ベトナムの人々に心から謝罪しようという「ミアネヨ、ベトナム」(「미안해요, 베트남」:ミアネヨは「ごめんなさい」の意)運動が心ある人々により1999年に展開されて以降、わずかずつですが流れは変わりつつあります。この『解放を待つ女性たち』もまた、そうした取り組みのひとつといえるでしょう。
そして今年(2017年)4月には、韓国軍将兵に虐殺されたベトナムの人々を慰霊する像「ベトナムピエタ」(베트남 피에타)が、韓ベ平和財団(한베평화재단)により済州島の西帰浦(ソギポ)市内に建てられました。この像を制作した夫婦作家のキム・ウンソン(김운성)、キム・ソギョン(김서경)両氏は、先に紹介した「平和の少女像」の作者でもあります。



この企画展示、あるいは先に紹介したレジュメを見るだけでも、日本が犯した「慰安婦」制度を告発し、その被害者である元「慰安婦」を支援している人々が、同じように自国の軍隊が他国の女性に対し犯した罪を告発し、その被害者を支援しようとする人々でもあることが分かります。国や民族などの枠にとらわれることなくすべての戦時性暴力被害を記憶し、被害者救済に取り組む立場であれば必然の行動といえるでしょう。「平和の少女像」の理念がそうであるように。

韓国軍将兵がベトナムにおいて市民の虐殺や性暴力など恥ずべき行為を働いたのは事実であり、これらは強く非難されるとともに、韓国政府による謝罪と誠実な対応が求められるべきものです。しかし、それらの加害を持ち出すことで日本軍の「慰安婦」制度という別の加害を相対化し、その被害者たちを踏みにじることもまた、人としてなしうる最も恥ずべき行為のひとつだと考えます。


博物館の建物を囲む塀には、「再生」を意味する蝶を象った、来館者のメッセージ入りの黄色いプラスチック板が無数に貼り付けられています。館内の順路の最後には未記入のプラスチック板が置かれており、来訪者は誰でも元「慰安婦」や博物館などへのメッセージを書いて、自分で貼り付けることができます。

「戦争と女性人権博物館」の開館時間は午後1:00〜同6:00、日曜日と月曜日は休館です。入館料は大人3,000ウォン(約300円)。展示物のほとんどは見出しを除き日本語表記はありませんが、受付では日本語音声ガイドを無料で貸し出しているので観覧には不自由しません。前述した通り、「平和の少女像」を除く館内のすべてが撮影禁止です。
最寄り駅である首都圏電鉄(ソウル地下鉄)2号線「弘大入口」駅からであれば、2番出口そばの「弘大入口駅」バス停から約5分おきに出る<마포(麻浦)06>バスに乗って4番目の「景城(キョンソン)高校入口」で下車、徒歩約3分(約220m)ほどで到達します。同駅からであればバス強調文に乗らずとも、1番出口を出て徒歩約18分(約1.2km)ほどですので、歩いてもよいでしょう。いずれの場合も空港鉄道の「弘大入口」駅から行く場合は5分ほど上乗せとなります。
繰り返しますが、願わくばソウルを訪れるすべての日本人が訪れて、直に展示物を観覧し、事実と向き合っていただきたい施設です。
戦争と女性人権博物館(전쟁과여성인권박물관:ソウル特別市 麻浦区 ワールドカップ北路11ギル 20 (城山洞 39-13)) [HP]
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